利家は信長を神と崇めていた
N:先生、お久しぶりです。冬休みで帰ってきました。石川はこんなに寒いのですね。
私:そんなに寒いかな? ホットでいい?
N:はい。ところで、先生、今、何してるんですか?
私:「古九谷」の原稿を書いている。
N:へえ。どんなことを書いているんですか?
私:加賀は信長の理想郷で、「古九谷」はその残影である。
N:「古九谷」と信長がどう関係するんですか?
私:じゃあ、きょうはその話をしてあげようかな。前田利家と信長の男色関係を知っているかな?
N:いいえ。黒歴史ですか?
私:当時は食うか食われるかの戦国時代。誰が敵で、誰が味方か? それさえわからない時代だ。一度契れば、生死をともにする関係が男色関係で、信長と利家は男色関係で強く結ばれていた。
N:男色関係では、どういうタイプが好まれるのですか?
私:イケメンで、高身長で、武勇に優れ、体格もよく、なによりも頭がよくなければならない。
N:利家は信長の目に適ったのですね。
私:そうだね。そして利家は信長を神だと恐れてもいたんだよ。
N:神ですか?
私:臨終のときにこんな話がある。利家は嫡男の利長に言う。「わしは信長様に触れたんだ。わしは神に守られた。利長はわしの子。だから利長も神に守られる」。
N:ものすごい話ですね。
私:驚くだろ。利家は「前田こそが織田の後継」の信念で、信長死後を生き抜いたんだ。
N:その話が加賀は信長の理想郷で、その加賀の地で「古九谷」が誕生したとなるわけですね。
私:そうだね。「古九谷」には信長の残影があるんだ。きょうはその辺の話を作蔵君に教えてあげようと思う。