天下布武(4) 2人の家庭教師② 平手政秀
私:さてもう一人の家庭教師(傅役)の平手政秀について語ろう。政秀は信秀の名代で朝廷に4000貫文を寄進したり、斎藤道三の娘(濃姫)との婚儀も整えたりしている。しかし信秀の葬儀で信長が仏前に抹香を投げつけるに及び政秀は諫死した……。
N:政秀の諫死は美談として伝わります。
私:政秀死後、信長は沢彦に命じて政秀寺を建立した。また政秀の娘を有楽斎(弟)の正室として迎えているんだ。
N:政秀に報いたのですね。ところで抹香を投げつける信長のあの行動はいったい何なのでしょうか?
私:暗殺の回避だな。織田家の重臣たちが、葬儀の場で、信長の暗殺を企んでいた。それを察知した信長は、寺の周りを十重二十重に親衛隊を配置して、自らは「戦闘服」に身を包んで葬儀に参加したのだ。抹香を投げつける破天荒な行動で、重臣たちの虚を突いたのだ。
●古九谷を追う 加賀は信長・利休の理想郷であったのか(幻冬舎)抜粋