「古九谷」の背景の文様
私:次は背景の文様に移ろう。「古九谷」には一面を黄色や緑色で塗り埋めた作品がある。それを「青手(塗埋手)」という。それらには必ず背景に文様がある。文様がなければ作品が締まらない。
N:文様?
私:地文様ともいう。「青手(塗埋手)」には目が喜ぶ地文様が必ずある。文様というから、硬い感じでパターン化されたものを思い浮かべるかもしれないけど……。
N:私には絵の一部分のような感じがします。
私:いいねえ。その感覚はすばらしい。「黒」の線が「緑」の下では黒だが、「黄」の下では黒が淡くなる。地文様の黒い線は「古九谷」に深みと味を与えている。
- 古九谷を追う 加賀は信長・利休の理想郷であったのか(幻冬舎)抜粋