(5)そもそも利休の茶碗は髑髏なのか?
N:しかし利休はほんとうに茶碗を信長の髑髏盃から着想を得たのでしょうか?
私:いまの陶芸家の「茶碗」をみても、利休の髑髏(シャレコウベ)は想起できない。なぜか? 利休の子孫たちや楽の子孫たちが茶碗を再発明したからだ。つまり、利休のとんがった「天才」を、万人が享受できるように、子孫は新しい茶碗を再発明したわけだ。
N:なぜ髑髏(シャレコウベ)なのかの説明になっていませんが……。
私:もともと利休は中国の雑器を抹茶茶碗と見立てた。それには歪みがあり、鉄粉が混じる。それを景色に昇華させた。そして当時の茶碗には呑口に刷毛跡を残しているものがある。髑髏(シャレコウベ)だとわかってもらえただろうか?
N:わかりません。
私:頭蓋骨だから髪の毛がある。刷毛跡は髪の毛なのだ。
- 古九谷を追う 加賀は信長・利休の理想郷であったのか(幻冬舎)抜粋