(3)利家と利長を思う利常
私:そして利常は父(利家)を思い、兄(利長)を思った。
N:利常は利家をどう見ていたのでしょうね?
私:利家の織田家での存在は、一前線部隊の将として柴田勝家に追随する武将という立場だった。
N:まだ24万石ですものね。
私:一方豊臣政権での利家は、五大老の筆頭徳川家康と豊臣家の間を取り持つ重責を担う立場だった。
N:83万石に出世しましたからね。
私:しかし、石高は徳川にはるかに及ばず、政略家としても大した実績を残せないまま豊臣末期に世を去った。
N:冷徹に見ていますね。では後をついだ利長はどうでしょうか?
私:家康からの無理難題を乗り切るのが精一杯で、徳川と前田の狭間で右往左往しながらも、外様ながら家を全うさせることができた……。
- 古九谷を追う 加賀は信長・利休の理想郷であったのか(幻冬舎)抜粋