欠点を補ってあまりある長所があるか
つまり、信長はいいとこ取りを許さなかったのです。
カラスはカラスとしてピカピカになればいいのです。カラスはカラスとして腕を磨けばいいのです。白鳥の真似をする必要がないばかりではなく、むしろ信長は絶対に真似は許さなかったのです。
カラスはカラスで、真っ黒いカラスのままでいいのです。欠点は欠点のままでいいと言うと誤解を招きそうですが、欠点を補ってあまりある長所があるのか? そこを信長は問題にしているのです。
99%の欠点を1%の長所がすべて補っている。
しかし、とはいえ、信長とて、その1%を初めから持っていたわけではありません。それならば、信長はいったいどういう道を通り、われわれが知る天下の信長になったのでしょうか?
あるときから、私はそこがとても気になり始めました。
- 古九谷を追う 加賀は信長・利休の理想郷であったのか(幻冬舎)抜粋