古九谷を追う&古九谷を残す

週1くらいの更新になります

くり返しくり返す小さな敗北 くり返しくり返す小さな勝利

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信長は勝利の予感の中で勝利してきました。

信長はオールラウンドプレイヤーでもあったでしょうが、私は欠点をうまく処理するのが、信長の「戦争論」では、1%の長所だと思っています。

 岐阜城制圧前の信長はくり返し美濃の斎藤氏に戦争を仕掛けていましたが、負けることも多く、桶狭間での勝利から岐阜城征圧までに、7年もの月日がかかってしまいました。

 とはいえ、負けても信長には深いダメージはありません。怯むどころか、斎藤氏を執拗に攻め続けました。意外かもしれませんが、信長は小競り合いが得意だったのです。

 周到な戦の準備をして、信長はくり返しくり返し美濃に侵攻していました。日々の準備が完璧であれば、信長は自ずから勝利が転がり込んでくることを知っていました。

 そのことも勝利の予感の中で勝利するというのです。

圧倒的な時間を準備にかけ、自分の努力を客観的な視点で絶対評価して、本番に勝つことも勝利の予感の中で勝利する、です。

しかし、その勝利はくり返しくり返す小さな敗北があってはじめて身についてきたものであることを忘れてはいけません。

ところが岐阜城以後の信長は、小さな敗北の上に立つ勝利ではなくて、小さな勝利の上に立つ信長に変化しているのがわかります。

  • 古九谷を追う 加賀は信長・利休の理想郷であったのか(幻冬舎)抜粋