古九谷を追う&古九谷を残す

週1くらいの更新になります

信長は逃げおおせた

f:id:thesakuzo:20201205210315j:plain

光秀に織田家の天下を奪取させてたまるものか。もはや信長の頭にはそれしかありませんでした。

光秀の襲撃を知るや、信長はその場で御殿に入り、小姓たちとともに敵を迎え撃ちます。そして防戦敵わずと知るや、信長は「女」を逃し、女に紛れて、信長は逃げます。

信長はどこに逃げたのでしょうか?

人のいないところ、人のいないところへと逃げました。

そして逃げの常套手段は火をかけることです。本能寺は猛火に包まれます。

地の利は信長にありますから、信長は敵に構わず逃げました。

信長ともあろうものが、人生の最期を締めくくる言葉が「諦めた」であろうはずはありません。

たしかに想定外は山積みです。敗北するときには、マイナスの想定外が連鎖的に起こりますし、勝利するときには、プラスの想定外が連鎖的に起こるものです。

敗北も、勝利もそういうもので、その敗北をするために、かつての数々の勝利があったのですし、また、その勝利をするために、かつての数々の敗北があったのです。

敗北とはそういうものですし、また、勝利とはそういうものです。

信長はすぐ光秀への対抗策を取りました。

光秀の長所を防ぎ、こちらの短所を長所に転換させようとしました。

信長は逃げることを恥とはつゆも思ってはいません。

信長は戦うという選択肢を捨て、火をかけ、女に紛れ、小姓が防波堤となり、一目散に逃げ出したのです。

信長は援軍を待とうとしたでしょうか? 近くに嫡男の信忠が、秀吉の中国攻めの援軍として、3000の兵を引き連れていました。しかし、信長は光秀の襲撃を信忠の襲撃だと勘違いしていた向きもあり、吉良のように炭小屋に隠れませんでした。

信長が逃げたのは本能寺の地下で、地下は火薬倉庫になっていました。

信長の遺体がないのは、大量の火薬が爆発したのだと言われています。

信長は首を渡さないことだけを考えました。捕まり、光秀の前に引きずり出されたくはありませんでした。

信長の首が三条河原に晒されれば、信長の天下が終わり、光秀の天下が始まる宣言だからです。信長の天下どころか、織田家の天下までもが終わりかねませんでした。

信長は逃げました。そしてついに逃げおおせたのです。光秀は信長を見つけることはできませんでした。遺体が火や火薬で判別不能だったのかもしれませんし、アナザーストーリーがあるやも知れません。

とにもかくにも信長は対処方法を間違えなかったのです。未だに遺体の行方がわからないくらい完璧でした。そして光秀から逃げおおせた勝者として、この世を自害して去ったのです。

本能寺での信長の「逃げる」は、われわれの逃げるとはまったく別次元の考えでした。まさか逃げることが、自害することだとはわれわれには思いもつかないことです。

一方イチローですが、東京ドームでファンから感謝の大きな声援を受けて、日本野球界の勝者として引退しました。しかし、イチロー自身は敗者としてメジャーリーグを去ったと思っているに違いないのです。

  • 古九谷を追う 加賀は信長・利休の理想郷であったのか(幻冬舎)抜粋