古九谷を追う&古九谷を残す

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遊び心が跳ねる鷹峰の「古九谷」 

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私:遊び心で「古九谷」を締めくくろう。天才には遊び心がある。鷹峰にも「古九谷」にも遊び心がある。まずは光悦から。国宝「楽焼白片身変茶碗」の箱に「不二山 大虚菴(虚菴は光悦の号)」と自筆で記し、印もつく。日本初の試みだ。
N:箱書きですね。

私:作家が自ら箱書したものを共箱という。日本の陶芸史上初の試みだ。ところで、「古九谷」には裏銘に角福があるものとないものがある。とても悲しいが、角福は中国ブランドだ。九谷は東インド会社の「コピー基地」だったことの名残だ。ここは後ほどあらためて話そう。鷹峰の「古九谷」には角福はない。角福の代わりに、遊び心満載の絵文字がある。大人が手を大きく広げていたり、南蛮人の顔があったり、子供の顔があったりする。光悦は共箱を試みているくらいだから、角福をつけるはずはない。

N:ところで遊び心のある作品はどれですか?

私:光悦の2作品。茶碗の「赤楽茶碗 雪峯」(重文)と「古九谷」の「畦道文角皿」だ。赤楽茶碗にはひびが走る。金継ぎ(金色の漆)で埋める。それが返って景色になり、迫力となる。一方「畦道文角皿」は窯疵(大きなひび割れ)を畦道に見立てている。

  • 古九谷を追う 加賀は信長・利休の理想郷であったのか(幻冬舎)抜粋