古九谷を追う&古九谷を残す

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2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

我が青春の桶狭間 義元左文字

私:さて桶狭間に急ごう。ここでは今川義元からの戦利品、刀の話をしよう。その名を「義元左文字」という。刀は合戦のたびに信長の腰にあり、本能寺へも携える。変後、秀吉に渡り、秀頼、家康へ。そして家康は大坂の陣で佩くんだ。 N:信長の刀を、豊臣を滅…

織田三代 信秀の知略は竹中半兵衛を凌ぐ

私:ところで竹中半兵衛を知ってるよね? N:秀吉の軍師で、知略、神のごとしでしょう? 私:信秀の知略は竹中半兵衛以上なんだ。 N:そうなの? 半兵衛の知略といえば、難攻不落の稲葉山城をたった16名で、しかも、調略で乗っ取る。『国盗り物語』(司馬遼…

織田三代の聖地 熱田と津島

N:さすがゼニ経済の織田三代ですね。打ち出の小槌(資金源)の確保ですね。桶狭間の必勝祈願は熱田神宮でしたが、熱田は湊だったのですね。.でも津島湊の話は初めてです。しかしこの話、信長の堺の直轄と瓜二つですね。 私:信長が安土城を提灯でライトアッ…

織田三代 信長は信定・信秀のゼニの経済を継承する

私:さていよいよ本丸の織田信長の話に入ろう。まず織田三代から始めよう。織田三代とは信定(祖父)―信秀(父)―信長で、信定は10万石で、信秀は30万石だ。 N:信長は石高でも恵まれていますね。 私:そして信長は信定・信秀のゼニ経済(金銀発想)を継承す…

金保有 利家0.3トン  vs 家康1トン vs 秀吉300トン

私:ところで『黄金の日本史』(加藤廣)によると、関ヶ原の前、家康の金保有は1トンだ。しかし関ヶ原の後、100トンを伏見城から奪い、大坂の陣の後、200トンを大坂城から奪うんだぜ。 N:豊臣家には300トンもの金があったのですか? 私:そうだよ…

信長発想 vs 家康発想 金銀 vs 石高

私:しかし、この石高議論がまかり通るところが、じつはおかしいなところだ。なぜかといえば、石高発想は信長の発想ではなく、家康の発想だからだ。われわれは家康発想に毒されているともいえる。 N:あれ? でもさっきは利家と秀吉の能力差を石高で判断して…

秀吉の利家評定 五大老で下から2番目

N:では秀吉政権下での利家評定は? 私:利家は83万石。それでも豊臣政権の五大老中、なんと、下から2番目だ。 N:え! 私:石高1番は家康の250万石で、毛利輝元と上杉景勝は120万石。1番下は宇喜多秀家57万石だな。石高の差から考えても、前田単独…

信長の利家評定 秀吉「頭脳」vs 利家「筋肉」

N:がぜん気になり始めました。神(信長)は利家の能力をどう評価していたのでしょうか? 私:信長は能力主義で、大胆な人材登用をする。秀吉が草履取りから天下人へなるくらいのね。そして信長は能力とは石高(給与)と考えていた。石高こそが信長の人事評…

利家の遺言状に信長の名があるのに秀吉の名はない

私:前田家の信長への崇敬はこの程度では済まない。利家の遺言状の話があるんだ。遺言状には信長の名前が数度出てくるが、秀吉の名は一切ないんだ。 N:秀吉にあれほど世話になっているのにですか? 私:信長の戦法を真似しろ。敵地に踏み込め。自国に侵入は…

遺骨は高岡と金沢にある 

私:次は織田信長の「遺骨」の話をしようかあ。本能寺の変当日、利長・永姫夫妻は信長(父)に会うために本能寺に向かっていた。ところが瀬田の唐橋(京の入口)で信長の死を知る。利長はただちに同行の家臣を本能寺に走らせた。 N:だから焼け跡で信長の骨…

金沢には安土城が建っていた

N:利家と信長の関係をもっと知りたくなりました。 私:そう? ご要望に応えよう。まず一つ目。利家の嫡男は利「長」。利長の長は信長の長だ。二つ目。その利長の嫁は信長の娘(永姫・玉泉院)。金沢城の玉泉丸庭園は邸宅跡地だ。三つ目。玉泉院の墓所(野田…

利家は信長を神と崇めていた

N:先生、お久しぶりです。冬休みで帰ってきました。石川はこんなに寒いのですね。 私:そんなに寒いかな? ホットでいい? N:はい。ところで、先生、今、何してるんですか? 私:「古九谷」の原稿を書いている。 N:へえ。どんなことを書いているんですか…

◎ 第1日目 新信長論 利家と信長

『国盗り物語』(司馬遼太郎)、『織田信長』(山岡荘八) 図 2 によって植え付けられたイメージはなかなか払拭できま せんが、本章(第1日目)はこうした織田信長像からかな りかけ離れています。小説ではなく、一種の論考のよう な内容を持っている本作品…

◎本文

私(西野鉄郎)は高校生に英語を教えています。N(西野作蔵)君は私の塾のOBです。上智大学の2年生で、ロシア語を専攻しています。帰省中の冬休みのある日、私たちは茶房古九谷(九谷焼美術館内)で会いました。話は弾み、3日連続で、「織田信長と古九谷」に…

はじめに その最終回 古九谷──信長と利休の「髑髏盃」を追う

本作品の結論部分です。古九谷という「謎の多い焼き物」はいったいどのように誕生し、ほんの20年ほどの歴史を残してあっさり消えてしまったのはなぜか。人気のある戦国末期の諸相をからめながら、信長と利休の「髑髏盃」を追い、「古九谷」には信長と利休の…

はじめに その4 城マニアにも読んでほしい

話は変わりますが、本文では、安土城(信長)、金沢城(利家)を取り上げました。「はじめに」では安土城を取り上げましょう。 これは城マニアへの挑戦状でもあるのです。海抜200mの安土「山」にあえて信長が安土城をつくった点です。 世は平城の時代になっ…

はじめに その3 信長と利休 知られざる利休

ところで、信長の髑髏盃はご存知ですか? 浅井久政・長政親子と朝倉義景の三つの頭蓋骨に金箔が施されています。 その盃で信長は酒を飲む……。 大河ドラマではおなじみの場面ですが、その髑髏杯こそが、じつは、利休の茶碗の源泉なのです。 利休の茶は戦国の…

はじめに その2 前田利家は信長に心酔していた

信長崇拝と言えば、前田三代、とくに利家の信長崇拝も驚くばかりです。 利家の遺言状には信長の名前はありますが、秀吉の名前はありません。その遺言状には信長の名前が数度も出てくるのです。 じつは利家は信長と男色関係にありました。一度契れば、生死を…

はじめに その1 信長は99%の欠点を1%の長所がすべて補っている

本作品は論考ではありますが、「歴史ミステリー」の趣きがあります。そして読み進めると信長の人間的な魅力に触れることができ、心が揺さぶられることでしょう。 信長は99%の欠点を1%の長所がすべて補っている 99%の欠点を補う1%の長所を持っているのが…