(3)髑髏盃でキリストの血を飲む
私:そして信長の髑髏(シャレコウベ)が利休の茶碗に蘇る。
N:利休の茶碗は信長の髑髏ですか? そうだとすると、キリストのワイングラスが利休の髑髏(茶碗)になるということなのでしょうか?
私:そう。そしてキリストのワインが利休の抹茶となる。
N:まさかの信長の髑髏!
私:利休は髑髏(茶碗)で聖人(殉教者イエス・キリスト)の血(抹茶)を飲む。
N:イエス・キリストが最後の晩餐でワイングラスを取る。「これわが血なり」といい、ワインを弟子たちに分け与えた。このことですね? 血とはワインレッドですね。
私:欧州では貴族の血は青い。アメリカでもblue blooded familyといえば「名門」の意味だ。
N:西洋だけでしょう?
私:中国では忠義のために死んだ人の血は3年経つと碧くなるという。それを碧血というが、日本にも「碧血碑」がある。その碑に祀られるある人物は今でもファンクラブがある。
N:誰だろう?
私:土方歳三だな。碧血碑は箱館戦争の旧幕府軍の戦死者(800人)を祀る。
N:何の話でしたっけ? あ、ワインレッドだ。
私:レッドではなくブルー(グリーン)。ブルー(グリーン)は緑で、抹茶だ。利休はほどよく泡立つ血をイメージして抹茶を選び、茶碗(髑髏)でキリストの血(抹茶)を飲む。
N:茶の「一期一会」にイエス・キリストの「最後の晩餐」のイメージが、完璧に被ってきました。これまでの話を整理すると次のようになりますが、正しいでしょうか? キリスト教のミサに着想を得て、利休が茶道を発明する。イエス・キリスト:利休。最後の晩餐:陣幕の茶会。食堂:茶室。ワイングラス:髑髏。ワイン:抹茶。キリストの血:碧血。レッド:緑。
私:うまくまとめたね。そのイメージで利休は「茶道」を造形したのだ。
- 古九谷を追う 加賀は信長・利休の理想郷であったのか(幻冬舎)抜粋