古九谷を追う&古九谷を残す

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(4)「重文」は「古九谷」No.1との評価が高い

 

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N:疑問に感じていることがあります。率直に訊きます。「重文」の「牡丹」は「古九谷」No.1との評価でしょう? しかし「色のハーモニー」と「色のヴァルール」の観点からみると、そうではないのでしょう? いったい何を基準にして「古九谷」をみればいいのでしょうか? 

私:加賀の「目利き」は「重文」を支持する。「東博」は異端で、「重文」が正統と映るようだ。重文は日本の伝統に則り、骨董的価値もあり、そのため縁の亀甲文様が作品に重厚感を与えているというのだ。

N:その説明では納得しづらいです。

私:武腰氏は「東博」を「セザンヌ級」の作品と称していた。

N:そういえば「東博」は油絵にみえますね。

私:加賀の「目利き」は西洋的なものよりも日本的なものを、本質的なところで、好むのだろう。

N:しかし江戸初期に「古九谷」作家は「油絵」

を描けたのですね。「古九谷」はゴッホマティスのはるか200年以上も前に加賀で誕生した日本が世界に誇る色絵磁器であることは完全に理解できました。

  • 古九谷を追う 加賀は信長・利休の理想郷であったのか(幻冬舎)抜粋